介護の世界で働くなら覚悟しておきたいこと

介護職

今回は、実際に介護施設に勤務している筆者が、これから介護職を始めたい方に伝える、勤務内容の実態です。

介護職は、しばしば「3K」と呼ばれる職業の一つだと言われています。つまり、「きつい」「汚い」「危険」ということです。「危険」についてはその可能性は、他の職業に比べて低いと思いますが、前者の2項目は顕著ではないかと思います。

介護職は、3Kの「きつい」に該当する?

体力的にきつい

「きつい」には体力的なものと精神的なものの2つの種類が考えられます。
介護職は、シフト制になっているので、勤務時間がバラバラです。

シフトによる勤務体制

きついと言えるのは、昼の12時から21時までの勤務をし、翌日がもし早番なら、朝の6時から15時の勤務ということになります。夜の21時に帰宅して、食事後にお風呂に入り、そしてプライベートなことを少ししたらもう0時頃になります。

翌日は朝6時から勤務なので、5時まで眠るとしても、睡眠時間は5時間になります。ベッドや布団に入り、すぐに眠れる方なら良いですが、通常は30分くらいはグダグダしているので、実質4時間半くらいの睡眠になります。
この睡眠不足が「きつい」のうちに入ります。

移乗介助などの動き

介護は車いすの方を介助するので、ベッドから移乗介助、そして食堂に移動し、食事介護、服薬後はまた居室に戻り、トイレ介助と口腔ケアを行い、ベッドへの移乗介助を行います。

一人だけなら良いですが、一般的には一人のヘルパーは3~4人の介護を行う仕組みのところが多いです。人員不足の施設ならもっと多くの介護を必要とします。つまり、この部分が体力的に「きつい」ことになります。

利用者の体型の違い

体型の違いによって、移乗時のヘルパーにかかる負担が異なることはどなたも想像できると思います、30kg台の方と50kg以上の方では、体重移動の方法も、負担も異なります。
移乗時の体重移動をしっかり行わないと、一緒に倒れてしまうなどの、ヘルパーとしては最悪の結果になってしまいます。ヘルパーは利用者の安全を確保する義務がありますので、ここはしっかり守りたいところです。

精神的にきつい

これは、入居者との対応の部分と、職員間の問題や上司などとの関係などです。
職員間や上司等の関係は、どの会社でも起きる問題ですので、すぐに理解できると思います。

例えば、認知症の方との対応には、さまざまな特徴を持った方がいます。

すぐに忘れてしまう

・話したことをすぐに忘れてしまう。
・衣類や義歯、衣類をしまったことを忘れてしまう。
・食事したことを忘れてしまう。
・月日や曜日、時間がわからない。
このような方がいらしゃいます。

物を盗られたと怒る

・自分の大切な物が無くなったので盗まれてしまった。
・泥棒が部屋に入った。
・前に無くなったものを、いつの間にか返していった。
この無くなったとか、盗られたという問題は、誰も見ていないことから、真相がわかりにくいのです。施設側からすると、防犯カメラもついているし、そもそも、盗むような職員も、他の入居者もいないわけですから、「盗られた」というのは妄想だと直ぐにわかります。

しかし、当の本人は盗られたと思っているのですから、誰も盗んではいないと説明しても、全く通じるものではありません。つまりは、傾聴しながら、一緒に探してみましょうと促し、一緒に部屋の中を探してみることなのです。

ここが、精神的に「つらい」という部分になると思います。
相手が親しく、気の合う人なら「盗んだ」とは言いませんが、入居者と職員の間では、「きっとあの職員が盗んだ」「あの人が盗っていった(他の入居者)」などとトラブルになりやすいのです。

場合によっては、本人同士が直接対決になることもあります。
「あなた、私のものを盗んだでしょう!どこに隠したの?」というような会話に発展することもあります。そんな時は、話を別の方向にもっていき、気を反らすようにしながら忘れるようにしてもらいます。

介護は3Kで言うところの「汚い」

この問題は排泄介助の話になりますので、あまり詳細は書けません。
体の不自由な方の排泄ですから、パットが汚れたり、おむつ、下着、ラバーシーツ等の洗濯に発展します。汚物の処理ですから、母親が赤ちゃんの世話をした場合、どのようなことをするか、どのような環境下に置かれるかは想像できるかと思います。加齢の方は赤ちゃんではないので、全く同一ではありませんが、排泄処理の部分は同じです。

これは生きている以上、自分もあなたも、誰しもが日常的に起きている現象ですので、ご理解ください。

介護職は3Kでいうところの「危険」

危険という言葉はあまり当てハマリませんが、強いて言うなら、移乗時などにバランスを崩してけがをするという程度でしょうか。あとは施設内の行き来をしますので、何かにぶつかったりしたときのケガが該当するかもしれません、

また、入居者を乗せた車での移動中の危険性も考慮すべきでしょう。
このように、あまり「危険」な状況にはならないと思います。

なお、近年のデータによると、介護職員のうつ病の発症率は過去10年で4倍に増加していると言われています。原因の詳細はわかりませんが、大変な仕事、苦労をする仕事として位置付けても良いかもしれません。特に、夜間勤務の場合は、寝不足と疲労の蓄積があります。寝不足での行動は、「危険」な状況に遭遇する可能性はあると思います。